WJのネタバレあり。
お誕生日おめでとうございます!
どうか素敵な一年でありますように…!
春勘絵で祝って頂いたので(その節は本当にありがとうございました! 嬉しかったです!!)、tacticsにしようか迷ったのですが、今は炎ツナに興味を持っていらっしゃるようでしたので、炎真君とツナの小話にしました。
宜しければ、納めください。
日付があってるかどうか不安です…もし、間違っていたらすみません…!
どうか素敵な一年でありますように…!
春勘絵で祝って頂いたので(その節は本当にありがとうございました! 嬉しかったです!!)、tacticsにしようか迷ったのですが、今は炎ツナに興味を持っていらっしゃるようでしたので、炎真君とツナの小話にしました。
宜しければ、納めください。
日付があってるかどうか不安です…もし、間違っていたらすみません…!
【古里炎真の個人的観測(炎真+ツナのSS)】
古里炎真は、不幸な少年だった。
非の打ち所がなく、誰の目から見ても、まさに『不幸』を背負っているような少年だった。
不良と出会ったら、暴行されるのが常。教科書を無駄にしたことだって、何も一度や二度の話ではない。
元来の暗い性格が拍車をかけたのか。負の感情は、負を惹き付けるとも言われる。しかしながら、彼は自分の身に降りかかる不幸を自らどうにかしようなどと思ったことはなかった。
逃げることはあっても、自ら動きだすことはなかった。
流れに身を任せ、抗わない。
それが荒波をたてずにやりすごす一番の方法。抵抗すれば、苦痛が長引くだけだと知っていた炎真は、ただ時間が過ぎるのだけを待てばよかった。
そうして、そのうち。
不良の格好たる捌け口となっていた彼がそのうち得た結論はただひとつ。
"――力を持ってる奴なんて、くだらない奴ばっかりだ"
……それだけだった。
沢田綱吉という人間に、炎真は興味を抱かなかった。
転校した先のクラスメイトらしいが、三十人近くいるクラスメイトの顔などいちいち覚えていられない。だから、記憶にもなく、はじめて綱吉を意識したのも、不良と一緒に暴行を受けていたときだった。
暴行を受けて何分経ったのか――気がつけば、いつのまにか隣に自分以外の悲鳴が加わっていた。がつんっと脳が揺さぶられるような衝撃が走った。霞んだ視界のなかで、ハニーブラウンの色彩がちらついて、知らない誰かが身を縮めてうめいている。
不良の気が済んで去っていった頃には、お互いボロボロだった。かける声も見つからず、炎真はボロキレのようになった教科書を掴み、無言でカバンに詰め込む。
すべて、慣れたことだった。
この世に救いなどなく、情けなどない。
ただ弱者は強者に蹂躙されるだけ。
それがいつの時代でも変わらない鉄則。
一緒に巻き込まれた名前も知らない少年も『弱者』だったから不良の暴行を受けたのだ。
別にそれをどうと思う気持ちは、炎真にはなかった。
それが当たり前の日常となっていた炎真とっては、とるに足らない些事に過ぎなかった。
――沢田綱吉が、弱者ではないと知った、あのときまでは。
網膜を焼くかのような鮮烈な炎だった。
額と拳に死ぬ気の炎を灯した少年は、先まで見た弱者ではなく、狩る側だけが持つ強者の色を瞳に宿していた。
襲いかかる敵を射抜く視線はひたすら真っ直ぐで、しかし、その琥珀に彩られた瞳には密やかに苦悩が称えている。
それは炎真が見たことのない瞳の色だった。いつも見るような、弱者はいたぶって当然だと告げる卑下な目でもなく、アーデルハイトのような孤高を貫く冷徹な瞳でもない。
(なんだろう…なんか違う…彼は、あいつらとは違う人間みたいだ…)
敵をいなした彼は、文句なしに強かった。だというのに、見たこともない色を秘めた瞳は、額の炎が消えると途端に甘く柔らかくなり、毅然としていた格好もなよっとした弱者のそれになるのだから、不思議だった。
「本当は強いんだね」
ぽろりと素直な気持ちがそのとき唇からこぼれ落ちた。
そう――彼は、弱いのではない。本当は、強いのだ。
ただ、それをどういうわけか隠している。ぎらぎらと弱者を噛みつける鋭利な牙を持っているにも関わらず、普段は使わないだけなのだ。
その理由までは、理解できなかったが。
「これ、ツナ君ちのネコ? 昨日はいなかったよね」
「あ…まあ…うん」
どうやら彼は、自分の知る人間のどれとも当てはまらないらしい。
自分のようにダメに見えて、けれども本当は強い彼に、炎真は知らず知らず興味を引かれていった。
それが、はじまりのきっかけ。
古里炎真が沢田綱吉という人間を認識したはじまりの日だった。
炎真君がツナのことを読んだのは標的287からだったので、たぶん…炎真君がツナをちゃんと認識したのはこの時だったんじゃないかなーと想像しました。なにはともあれ、お誕生日おめでとうございますー!
古里炎真は、不幸な少年だった。
非の打ち所がなく、誰の目から見ても、まさに『不幸』を背負っているような少年だった。
不良と出会ったら、暴行されるのが常。教科書を無駄にしたことだって、何も一度や二度の話ではない。
元来の暗い性格が拍車をかけたのか。負の感情は、負を惹き付けるとも言われる。しかしながら、彼は自分の身に降りかかる不幸を自らどうにかしようなどと思ったことはなかった。
逃げることはあっても、自ら動きだすことはなかった。
流れに身を任せ、抗わない。
それが荒波をたてずにやりすごす一番の方法。抵抗すれば、苦痛が長引くだけだと知っていた炎真は、ただ時間が過ぎるのだけを待てばよかった。
そうして、そのうち。
不良の格好たる捌け口となっていた彼がそのうち得た結論はただひとつ。
"――力を持ってる奴なんて、くだらない奴ばっかりだ"
……それだけだった。
沢田綱吉という人間に、炎真は興味を抱かなかった。
転校した先のクラスメイトらしいが、三十人近くいるクラスメイトの顔などいちいち覚えていられない。だから、記憶にもなく、はじめて綱吉を意識したのも、不良と一緒に暴行を受けていたときだった。
暴行を受けて何分経ったのか――気がつけば、いつのまにか隣に自分以外の悲鳴が加わっていた。がつんっと脳が揺さぶられるような衝撃が走った。霞んだ視界のなかで、ハニーブラウンの色彩がちらついて、知らない誰かが身を縮めてうめいている。
不良の気が済んで去っていった頃には、お互いボロボロだった。かける声も見つからず、炎真はボロキレのようになった教科書を掴み、無言でカバンに詰め込む。
すべて、慣れたことだった。
この世に救いなどなく、情けなどない。
ただ弱者は強者に蹂躙されるだけ。
それがいつの時代でも変わらない鉄則。
一緒に巻き込まれた名前も知らない少年も『弱者』だったから不良の暴行を受けたのだ。
別にそれをどうと思う気持ちは、炎真にはなかった。
それが当たり前の日常となっていた炎真とっては、とるに足らない些事に過ぎなかった。
――沢田綱吉が、弱者ではないと知った、あのときまでは。
網膜を焼くかのような鮮烈な炎だった。
額と拳に死ぬ気の炎を灯した少年は、先まで見た弱者ではなく、狩る側だけが持つ強者の色を瞳に宿していた。
襲いかかる敵を射抜く視線はひたすら真っ直ぐで、しかし、その琥珀に彩られた瞳には密やかに苦悩が称えている。
それは炎真が見たことのない瞳の色だった。いつも見るような、弱者はいたぶって当然だと告げる卑下な目でもなく、アーデルハイトのような孤高を貫く冷徹な瞳でもない。
(なんだろう…なんか違う…彼は、あいつらとは違う人間みたいだ…)
敵をいなした彼は、文句なしに強かった。だというのに、見たこともない色を秘めた瞳は、額の炎が消えると途端に甘く柔らかくなり、毅然としていた格好もなよっとした弱者のそれになるのだから、不思議だった。
「本当は強いんだね」
ぽろりと素直な気持ちがそのとき唇からこぼれ落ちた。
そう――彼は、弱いのではない。本当は、強いのだ。
ただ、それをどういうわけか隠している。ぎらぎらと弱者を噛みつける鋭利な牙を持っているにも関わらず、普段は使わないだけなのだ。
その理由までは、理解できなかったが。
「これ、ツナ君ちのネコ? 昨日はいなかったよね」
「あ…まあ…うん」
どうやら彼は、自分の知る人間のどれとも当てはまらないらしい。
自分のようにダメに見えて、けれども本当は強い彼に、炎真は知らず知らず興味を引かれていった。
それが、はじまりのきっかけ。
古里炎真が沢田綱吉という人間を認識したはじまりの日だった。
炎真君がツナのことを読んだのは標的287からだったので、たぶん…炎真君がツナをちゃんと認識したのはこの時だったんじゃないかなーと想像しました。なにはともあれ、お誕生日おめでとうございますー!
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